アクティブシニア・シルバーのためのウェブユーザビリティ研究・提案やグループインタビュー、モニター調査等を実施しています。

アクティブシニア・シルバー層のビジネスといえばユーザビリティ研究所

コラム

■ウェブとシニアの常識の10の溝

ウェブサイト制作者がどんなに頑張ってもどうしようもない「仕様」というものがあります。例えば「×を押すとウインドウが閉じる」など。極端ですが、そういった「あたり前」がシニアには通じないものがあります。
通じなくてもいい仕様もあれば、シニア層が引っ掛かって操作が出来なくなる仕様もあります。ほとんどがウェブサイト制作者泣かせの「どうしようもないよ」な問題ですが、「こんな人たちも見ているんだなあ」ぐらいの参考になれば幸いです。(大柳)

1.URLとメールアドレスは違うということを解っていない
 名刺や新聞・雑誌の切り抜きを手に、ホームページを見よう・メールを送ろうとがんばるシニア。普段からインターネットもメールもなんとなく使えているのに、今日はうまくいかない、という彼らの失敗の原因は何でしょうか。
 予測できることとしては、全角で入力している、「.」と「,」を間違えている、「1」と「l」を間違えているなどの入力間違いが挙げられます。これはもう宿命としか言いようがありませんので、それほど驚くことでもありません。
 よりシニア的だと感じるのは、メールアドレスとURLの区別がついていない時です。アドレスバーにメールアドレスを入れていたり、URLでメールを送ろうとしていたり。両者の違いは通常「@」や「http://」などで判断するのですが、両方に接していないと違いや共通点を認識できません。解らない人にとってはどちらもアルファベットの羅列に過ぎないのです。

2.入力する時に画面を見ていないから間違いが多い。
シニアはアクセシビリティをしっかり考えてつくられている入力フォームでもなぜか失敗します。どんなフォームでも共通する失敗の理由は、「入力時に画面を見ていない」ことからきています。

郵便番号を入力する場合を考えてみましょう。郵便番号は考えなくても入力でき(ただし、自宅の郵便番号を知らないシニアはいます。郵便番号は必須項目にしないほうがよいでしょう)、キーボードを見ながら軽快に入力します。数字ですから入力も楽です。ハイフンはそれこそ目を皿のようにしてキーを探します(ハイフンを入れない、という選択肢はありません)。7桁入力し終わって、画面を見ると、3桁部分と4桁部分にフォームが分かれているということがあります。「入力したのが消えてしまった!」このセリフは3桁部分に7桁すべてを入力してしまい、表示がおかしくなるために発せられる言葉です。キーボードを注視し、画面を見ていないが故に起こる間違いともいえます。

若い世代との違いは、ここで分割されていることに気づき適切に対処ができるか、「消えてしまった!」と戸惑い、対処できない・何がいけないのか解らないかにあります。
フォームによっては間違った入力をするとエラーダイアログが出るものもあります。これも、入力時に画面を見ていないシニアには意味を成さず、最後まで入力し終わったと思って顔を上げると画面にエラーが出ている、という大変怖い状況になります。
また、入力し終わったらとにかくEnterキーを押すものだと考えているシニアも多く、直接入力時でもためらいなくEnterキーを押してしまいページが遷移してしまいます。
単純に文章を入力している時とは違い画面が大きく変わるため、驚いて対応できない場合がかなりあります。シニアの「変化に弱い」という特徴を如実に表しています。

3.「メールアドレスを入力してください」が難しい。
「お名前、ご住所、お電話番号を明記の上…」の耳慣れたフレーズ。懸賞応募でも会員登録でも、この3つは必須です。ウェブからの登録にはこれに「メールアドレス」が加わります。
インターネットで買い物をしてみたい! という方が一番最初に困る部分はこのメールアドレスの記入です。なぜ困るのか。答えは簡単で、自分のメールアドレスが解らないからです。
普段メールを使っていても、会員登録で入力を求められて慌てて手帳や名刺で確認する、なんてざらです。自分のメールアドレスを知らなくてもメールは送れますから。そもそもインターネットで何かを申し込んだことがない人は、申し込み時にメールアドレスが必須項目であることを予測していません。住所や生年月日は即答できても、メールアドレスは無理。「そんなものどうして必要なんだ」と憤慨してみたり、流行の個人情報の漏洩を恐れみたり。女性の場合、「パソコンのメールアドレスは主人のしかなくて…」「子どもに聞いてみないと…」と、その場で処理できないことが多くあります。メールアドレスはまだまだ住所・電話番号ほど浸透していないのです。

4.「クリックしてください」の意味が解らない
普段パソコンを利用していて、どんなときはシングルクリックでどんなときはダブルクリックか、明確に説明できますか? ウインドウを開くときはいつもダブルクリックでしょうか。デスクトップにあるマイドキュメントを開くときはダブルクリックですが、スタートメニューから開くときはシングルでいいですよね。このあたり、言葉で説明するのって解っている人でも面倒です。大は小を兼ねる、でなんでもダブルクリックにしている人はかなりいます。
ところでウェブサイトを閲覧するのにダブルクリックは必要でしょうか。当然、ほとんど必要ありません。むしろ送信ボタンなどは、ダブルクリックされると困ります。パソコンはダブルクリックがデフォルトだと思っているシニアは「クリックは一回だけにしてください」と明記してあっても「はいはい、一回ね」と一回ダブルクリックしてしまったり。言葉って難しいなと感じる瞬間です。
最近のパソコンではデフォルトの設定が[ポイントして選択し、シングルクリックで開く]になっている場合があるようですが、家族と共用のパソコンだと、大抵息子・娘に設定を変えられます。辛いところです。

5.「サイトマップ」とは何か理解しようともしない。
サイト構造が解らない場合、ウェブを良く知っているならサイトマップから目的のページを探す人も多いのではないでしょうか。実はこれ、シニアも一緒です。でも理由は違います。「地図のところに会社の名前や電話番号も一緒に書いてあるんじゃない?」という本人以外には非常に理解し難い理由からです。
まず「サイトマップ」には会社へのアクセス情報等が書いてあると思っています。「サイトマップはサイトの地図である」という常識は通用しません。
「サイトってよく解らないけどマップは地図でしょ。地図って言ったら地図じゃない。」が彼らの思考です。解らない言葉は省いて考える。そして地図があるところには当然会社名もあって、行き着けなかったときのために電話番号も併記してある、解らないことは電話で聞ける、という連想と言う名の思い込みが成り立っているのです。
また、シニアはサイトの運営者について非常に気にし、会社概要にあたるものを探したがります。そのあたりを考えて作られているサイトは、ちゃんとトップページに会社概要ページへのリンクがありますが、サイトによってはリンクがあっても「わたしたちについて」などとなっていて解りにくくなっています。企業情報や電話番号はシニアの警戒心を解く重要な要素になるので、明確な言葉で示す必要があります。

6.検索結果の見方も解らない。
インターネット初心者のシニアだと、検索の仕方や検索結果の見方がよく解っていない場合があります。検索の仕方なら「検索語が広すぎる」「文章を入力してしまう」など。
「僕はインターネットは使えます」と入会された方でも、「絞り込み検索の仕方を知らなかった。2個以上言葉を入れてもいいなんて!」ということが多々あります。
検索結果の見方でよくあるのは、「次のページがあることが解らない」「『1・2・3・4…』の意味を解っていない」、などがあげられるでしょう。

検索結果の見方までは簡単に予測もつき、知識的な問題ですから間違いを正すこともできますが、大変なのが「検索結果ページとウェブサイトの違いが解らない」というケースです。

要するに、ウェブページというものが無尽蔵にあること、それをある言葉で検索して抽出していることが直感的に理解できていないため、検索結果を見て「で、これしかないの?」という言葉が出るのです。検索をGoogleのI'm Feeling Luckyのように捉えている、と考えていいでしょう。こういった方の場合、検索結果をクリックすればサイトが見られ、情報が得られる、ということを理解するまでに時間を要します。教えてくれる人がそばに居ればよいのですが、誰もがそうとは限りません。
また、検索時の間違いに、「検索ボックスにURLを入れてしまう」というものがあります。アドレスバーより検索ボックスのほうが目に付きやすいので、そこにURLを入れたくなってしまうのです。大きなサイトならURLで検索しても結果は適切に出ますが、新しいページやキャンペーンサイトなど、検索されないこともあります。検索ボックスにURLを入力した場合、自動的にそのURLに遷移してくれるようになるほうがシニアには優しいといえます。

7.ウェブの常識である言葉の直訳は得てして通じない
シニアはカタカナやアルファベットが苦手です。ビートルズが好きであろうが、ジャズが好きであろうが、カタカナは苦手です。その点についてウェブサイトを作る際は、注意しなければいけません。でも、頭を硬くしてなんでも日本語表記にすればいいかというと、そうではありません。翻訳サービスを利用してある言語の別の言語で表示したとき、あまりの直訳に笑ってしまうこと、ありますよね。それと一緒です。

面白い例に、ドラッグアンドドロップがあります。稀にJavaScriptでドラッグアンドドロップで操作できるサイトがあります。説明にあったドラッグアンドドロップとは何かと聞かれて、「ドラッグは引きずるという意味、ドロップは落とすという意味です。だから、こう、ここを…」と説明していて、最終的にマウスを引きずってデスクから落とされたことがあります。目的語がマウスかファイルやコンテンツかでまったく違ってくるので、説明が良くなかったということもあると思いますが、サイトに「引きずって落としてください」と書いてあっても、やっぱりわからなかっただろうな、と感じます。

コンテンツ、ダウンロード、アクセス、いろいろな言葉がシニアにとって「伝わらない」言葉となっています。

8.アカウントとパスワードは考えなければならない、そして忘れてはいけないという意識がない
「登録・購入時にはメールアドレスが必須である」と同様に、ウェブ会員登録前に予測していないこととして「アカウントとパスワードを作らなければならない、さらにそれを覚えておかなければならない」ということがあげられます。

何かを自分で考えなくてはいけないということはつーチンワークで日常が成り立っているシニア層にとって非常に辛い行動です。さらに、アカウントとパスワー ドを作るという事がルーチンワークと捉えられるようになるまでは時間がかかります。他の人に使われてしまっているIDは使えないというのもイライラに拍車 をかけます。このあたりは若年層でも経験があることでしょう。

作ったアカウントやパスワードが解らなくなるというのも、年齢を問わずあることですが、シニアになると本当に涙が出るほど解らなくなります。
原因としては、アカウントもパスワードも、登録時にはそれほど大切なものだと思っていないということがあります。「忘れないようにしてください」と注意書 きがあっても、それが「覚えていてくださいね」「覚える自信がなければメモをするか印刷してくださいね」と言われているとは露ほどに思わないのです。まし てそれがログイン時に毎回必要になるとは思いもよらない。
そして「忘れても教えてもらえるだろう」という思い込みがあります。たとえば銀行の通帳を紛失しても、きちんと手続きをすればまず問題はありません。(銀行の暗証番号は忘れないように覚えやすい番号になっているというのも問題です。)

ウェブのパスワードなども銀行のパスワード同様に考えている傾向があります。確かに銀行のパスワードと同じようなものですが、その手続きは簡単ではありま せん。登録時のメールアドレスがわかり、生年月日をごまかさずに入力していて(重要)、秘密の質問に正確に答えられる。そういった難関があるのです。

「秘密の質問」の意味も大変難しく、秘密の質問はパスワードを思い出すためのになるものだと勘違いしているケースがとても多いのが秘密の質問を複雑化させ ている原因となります。秘密すぎて覚えていられないことも多々ありますし、設問が出てくるのではなく選択肢から思い出させる場合には悲惨という言葉以外思 いつかないほど大変です。
最近は不正な自動登録を防止のため、「画像の中の英数字を入力してください」などもよくあります。てっきりそれがパスワードだったと思って大慌てになる人もいます。登録時にパスワードが非表示になるのも、パスワードが解らなくなる原因の一端でしょう。

9.サービスによってアカウントもパスワードも違うことが解らない。
ブログの更新などで、「家のパソコンでならできるが他のパソコンではできない」と戸惑われる方、逆に「家のパソコンでできるのは理解できるがなぜ他のパソコンでもできるのか解らない」とおっしゃる方がいます。
前者の場合、クッキーやオートコンプリートが有効に機能していて、アカウントもパスワードも入力する必要のない状態にあると考えられます。普段アカウントやパスワードを利用していないと、突然必要になったときにとても困ります。「ここにメールアドレスを入力するとパスワードが出てくるから大丈夫ですよ」と教室で自信満々に仰る方もいます。
また、パソコンで使うアカウントやパスワードは1種類しかないと思い込んでいる人もいて、プロバイダから送られてきた書類ですべて対応できると思ってしっかり手帳に書きとめているも、さっぱりログインできないという状況に陥ります。サービスごとにアカウントもパスワードもすべて別個のものであることが解っていないのです。

後者は、パソコン(または回線)とサービスが繋がっていると考えている典型です。パソコンを2台、ブログを2つ持っていて、一見使いこなしているように見える人が、「このパソコンではAのブログ、あのパソコンではBのブログを作ったんだ。古いパソコンは廃棄したいんだけど、ブログが書けなくなっちゃうから棄てられないんだ」とおっしゃることは多々あります。

どちらも根本の原因はアカウントとパスワード、ログイン・ログアウトの関連付けができていないということです。日常生活でログイン・ログアウトにあたる操作をすることはまずありません。よく通帳と暗証番号が例に挙げられますが、銀行の場合は強制ログアウトです。クッキーによる自動ログインはありません。このあたりが混乱を招きます。
クッキーは便利ですが、ログアウトしなければ危険であることを知らないシニアがほとんどです。その便利さを享受して他のパソコンでもそうだろうと思い込んでいるシニア層が多いことは間違いありません。

10.ウインドウと閉じるボタンや戻るボタンの関係が解らない
本当に初めてインターネットを使った人から、最後に「インターネットを終わらせるのはどうしたらいいの?」と聞かれることがあります。今からインターネットを使うシニアでダイヤルアップを選ぶ人は稀ですから、ウインドウを閉じればおしまいです。そんなことも解らないなんて、と思われるかもしれませんが、このあたりは最初だから解らないこと。仕方ありません。「×」の印は「閉じる・終わる」のメタファーとして非常にわかりやすく、すんなり理解できます。戻るボタンも同様です。

それでも閉じるボタンや戻るボタンをクリックすることでなんらかの失敗をするのがシニアです。彼らの失敗は、マルチウインドウを理解できていないことからきています。
解るひとには「なぜそっちのボタンを押してしまうんだ!」といらいらすることこの上ないのですが、シニアはなぜか非アクティブウインドウのボタンをクリックします。原因はボタンがウインドウに付属しているものだと理解しておらず、画面のある一定の部分にあるものと認識しているため、また、アクティブウインドウと非アクティブウインドウの違いを認識できないためです。
別ウインドウで新しいページが開いた場合、画面がどんな状態になるかはパソコンによってかなり違いがあります。一概には言えませんが、元のウインドウより一回り小さく且つ重なるように開くケースが多いと思います。まず多くのシニアは最大化しません。小さいウインドウをがんばってスクロールして閲覧します。非常に見づらいですので、途中で嫌になったり、間違ったページを見ている気分になり、前のページに戻りたいと感じます。そして、「いつもの位置」にある非アクティブウインドウの戻るボタンを押して、失敗するのです。

さらに、同様なことを繰り返していくとウインドウは山のように開きます。もう今日はおしまい、という段階になって、閉じても閉じてもウインドウがなくならない状況に陥ります。閉じるボタンも画面のより左上にあるものから押していこうとするため、押しても押しても画面が変化しないように感じ、すわウイルスか、と心拍数があがります。血圧にもよくありません。
ウインドウは複数開けること、アクティブウインドウのボタンを操作しないと思い通りの動きをしないことさえ理解できれば簡単に回避できることですが、これをシニアに直感的に理解してもらうのは難しいのです。

1 月 5, 2007 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック

■シニア向けウェブサイト構築のための10のポイント

1)トップページ・・・画像はわかりやすく・情報を詰め込みすぎない

アクティブシニア・シルバーにとって画像はサイトの道標であり、サイトを「見たい」気持ちにさせる重要な要素です。文字だけのサイトはあまり閲覧意欲が起 こりませんし、かといって意味のない・内容と関連の薄い画像だと何のサイトなのかはっきり解らず、間違ったページを見ている気持ちになります。使用される 画像は理解を促進・補助するものでなければなりません。
また、欲張りすぎてトップページにたくさんの情報を載せると、自分の求める情報があるのかどうかわからなくなり、サイトから去られてしまいます。メニューやコンテンツの選別をし、すっきりしたトップページにするよう心がけましょう。


2)メニューバー・・・他のメニューを隠さない

シニアはマウス操作が苦手な方が多いので、フラッシュやJavaScriptの「飛び出すメニュー」やマウスの横移動が必要なメニューは避けなければなりません。
どうしてもそういった形式にする必要がある場合でも、飛び出してきたメニューで他のメニュー項目が隠れてしまわないようにしましょう。隠れてしまったメニューを押したい時に、出ているメニューを閉じることができずに動けなくなってしまうことがあります。


3)文字・・・文字の大きさ・色

文字は当然小さいより大きいほうがよいですが、むやみに大きくしても「読みやすい」という感覚は得られません。シニア向けにはfont-size: 90%;line-height:180%程度が適切です。色は前景色と背景色の明度差をはっきりさせます。最低でも185以上あるようにしましょう。ま た、明度差があっても背景色が赤や緑だと読みにくく感じられますので、避けてください。
文字のサイズを調節するボタンは目に入らなかったり使い方がわからなかったりでまず利用されません。


4)言葉・・・曖昧な言葉を使わない

当然ながらカタカナ・アルファベットの表記は避けることが望ましいですが、ウェブ用語として定着しているものなど、日本語表記の難しいものもあります。説明書きを設けるなどして、理解を促す努力をしてください。
また、「WEB窓口」などの言葉は誤解を招きます。カタカナやアルファベットを省いて考えるため、現実の窓口と混同してしまうからです。「サービス」と 「サポート」なども混同していることがよくあります。独自のサービスを作る際のネーミングに注意し、曖昧な言葉・複数の意味に取れる言葉を使用しないよう にしてください。


5)印刷

製品の比較検討をする時はもちろん、「紙のほうが見やすいし、とりあえず印刷」するシニアは多いです。標準の設定で印刷すると背景は印刷されません。ま た、横幅の広いページだと右端が切れてしまうことがあります。どんなページでも、印刷された時、背景がなくても画面と差がない、また、右端が切れても重要 な情報はすべて印刷されているかどうか確認してください。


6)ナビゲート・・・戻るボタンを使える・クリックできる場所を明確に・戻る場所の明示

シニアは戻るボタンを多用しますので、ページの有効期限切れなどが出ない設計にしましょう。
リンクのある場所がはっきりわかることも大切です。文字リンクの場合は、下線をつける、適切なリストマークをつけるなどで、通常の文章との違いを明確にしてください。ボタンの場合は押下できそうな形状にしましょう。
ホームへのリンクやページ内リンクを設ける場合、言葉の使い方に留意し、何処にリンクしているのかはっきり解るようにしてください。


7)フレーム

フレームはSEOの面で不利であることから避けられる傾向にあります。シニアにとってもフレームはよいものではありません。
スクロールバーが複数あり、混乱を招きます。どこでスクロールするとどの部分が動くのかが分からないためです。インラインフレームの時に顕著です。



8)図解

シニアの、特に女性は、「読んで解る」よりも「見て解る」ことを「解りやすい」と感じます。同じ事を言っていても、文章で書いてあるより図解されているほうが要点をまとめて理解でき、体感する「解りやすさ」と「実際の理解度」の両方とも高くなります。
男性の場合は、本当に内容を理解しているかどうかはさておき、字が多いほうが情報量が多く質の良いサイトだと思う傾向があるので、ターゲットによって文字情報の比率を考えるようにしましょう。
どちらにせよ、内容を理解してもらうためには図解が必須です。


9)検索

サイト内検索を覚えたシニアは、知りたいことがあるととにかく検索しようとします。検索結果が見づらかったり、求める結果が出ないと「このサイトにはわた しの知りたいことがないんだ」と思ってしまいます。検索されそうな言葉と内容を推測し、該当する結果を上部にはっきりと表示するようにしてください。再検 索をするためのボックスは一目でわかる場所におきましょう。忘れっぽいシニアのために、なんという言葉で検索したのかを明記することも大切です。
また、検索がヒットしなかった場合、これからどうすればいいかを明記し、次のアクションをわかりやすく促してください。ここでも戻るボタンは必ず使えるようにしましょう。


10)目線の動き

通常ウェブページは上から下に見ていかれるものですが、シニアの場合視線が上に戻りません。戻るのが面倒なのか、「もう見たから平気。特に何もなかった」 と思っているようです。「戻るボタンを使わないで最初のページに戻れますか?」というユーザーテストでも、ページ下部までスクロールしてから「ここらへん にホームへのリンクがあれば押す」という内容の回答が大多数を占めます(ちなみに残りの少数の回答は「戻るボタンしか使わない」です)。
実際、メインコンテンツなどは真ん中以降にあるわけですが、上部にメニューを設けている場合あまり使われなくなります。上部のメニューを使わなくても閲覧に支障のないサイト作りが必要です。

9 月 25, 2006 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック

■サイト内検索とシニア層

前提:検索サイトと、サイト内検索の違いが解らない。

各社ウェブサイトのサイト内検索をつけるようになってきました。
インターネットのよさ、というのはリンクで他の会社、他のサイト、他のサービス、すべてのものと「リンク可能」であるということ。

つまり、某社のCMではありませんが、「ボーダレス」なのです。

利用者にとっては、Yahoo!と、その先にある会社は「杉並区」と「中野区」位の違いにしかなりません。クリック1つで行ける、お隣なのです。(解らない方のために、杉並区と中野区は隣の区です。)

実は、Yahoo!が「検索エンジンである」という認識も薄くなっています。
「Yahoo!を使えば、色々な場所へ行ける。でも、他の会社からも行ける」と思ってしまう。
「サイト」という単位がないのです。あるサイトからあるサイトへ、ではなく、クリックによって延々と繋がっていくだけ。
先ほどまでYahoo!にいたのに、あっという間にお隣さんに移っている。
だから、「サイト内検索」といわれても解らないのです。

企業のウェブサイトの中にはる、サイト内検索のテキストボックス。それはYahoo!のテキストボックスと、何ら区別されません。「ここに言葉を入れれば、自分の欲しい答えに近いページが表示されるに違いない」と思ってしまいます。

しかし、サイト内検索がまだ試行段階にあるためか、検索結果が見づらい会社の多いこと。どこの会社というふうには敢えて言いませんが……。

サイト内検索で失敗し、そのウェブサイトを閉じてしまったシニア層の方をたくさんを見ています。
「機能しない」サイト内検索ならやめたほうがいい。
「サイト内検索」という言葉も、できる限りやめたほうがいい。
もし、あなたのサイトが、シニア層にも使って欲しいと思うならば、です。

10 月 27, 2005 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック

■そのままの自分をうけいれてくれるウェブサイト

シニア層、PC初心者は行き当たりばったりでネット上、そしてサイト内を徘徊する。
興味をひかれればクリックし、嫌悪感・恐怖感・不信感を感じたならば徹底的に避けていく。面倒くささを感じたときも、そのサイトをさっさと立ち去り違うサイトに飛んでいく。
結局、「サイトに合わせて自分が変わる」よりも「そのままの自分を受け入れてくれるサイトを利用する」ということになる。それも当然かもしれない。

PCに慣れている人ならちょっと操作ミスしても、エラーが出ても、ちょっと考えれば原因が思い当たるし、考えてわからなければちょっと調べれば解決できるものだ。しかしシニア層やPC初心者は「ちょっと」では済まない。

考えてもわからないのはもちろん、調べ方もわからないし、人に聞いても根本を知らないから納得できない。そして不快感だけが残る。「そんなこと知らなかった。『そういうものなんです』っていきなり言われても・・・。」突如出現した「常識」。思い通りにならないイライラを抱えながら、自分を否定され、拒否されたような疎外感を感じながら、努力して勉強して、サイトの難易度に自分が追いつき、やっとそのサイトを使いこなす。そんな面倒くさいことをしてまで一つのサイトに執着するほど、そのサイトに情報はあるのだろうか?

ネット上には同じテーマを扱った他のサイトがゴマンとあるのだ。今のままの自分で自然に使えるサイトに向かい、そこで楽しむ。受け入れられる心地よさと安心を感じながら。
「今までネットなしの生活だったわけだし、別に使えないなら使えないで生きていける。他にも楽しいことはあるし。」そう思われたら最後、そう思ったシニアはネットには二度と寄り付かなくなり、ネット上で消費することもなくなるし、ネットで情報を得たのをきっかけに現実での消費に繋がることもなくなるだろう。

ここで「こっちもわざわざサイトをシニア向けに作り変えて、いるかわからないシニア層をターゲットにするより、ネットに慣れていて抵抗感もない世代だけを狙う方がやりやすいし、確実だし・・・。」なんて考えてしまうのは本当にもったいないことだ。
一から作り直さずとも、ほんの少し使いやすく、わかりやすく改善するだけでシニア層の心を捉える環境が整う。ターゲット設定は、そのままでいいのだ。非・シニア層向けのつもりで扱っている商品の方がかえって受けが良かったりする。当の本人たちは自分がシニア層に含まれているとは思っていないのだから。商品に興味を持ってくれている人がいるのに、サイトが使いにくがゆえに、黙って立ち去られている。それだけのこと。

そのことに気づければ幸い。商材やコンセプトトはそのままに、お客様が増える。
スムーズに、なんのストレス、障害もなく使えるサイトの流れ、道筋を作る。それだけでシニア層に逃げられないサイトが出来上がる。

10 月 7, 2005 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック

■高齢化社会のインターネット

2007年、団塊の世代が定年を迎え、日本の1/4は60歳以上となる。
そんな中、さまざまなサービスは高齢者を無視して運営できなくなる。
ウェブもまた然り。

しかし、すべての中高年(高齢者ではない)がインターネットを思うように操れるか、ストレスなく利用できるかといえば、利用できるウェブサイトは全体の1割にも見たない。

中高年・高齢者向けのウェブユーザビリティというと、障害者や要介護者とまとめられがちだが、実際問題まとめることはナンセンスである。

当社ではシニア・シルバー層に特化したウェブユーザビリティを研究しているが、通常のウェブサイトを大きく変える必要はない。また、無理に文字を大きくする必要もない。

高齢者のために新しくウェブサイトを作りかえる必要もない。ただ、ちょっと使いやすく気を使うだけだ。

若い人は不満足ではあっても、色々ウェブサイトを探索する勇気を持っているが、これが中高年・高齢者となるにしたがってウェブサイトでの冒険をできなくなる。

つまり、若い時代には一人で旅行にいけた人が、中高年になるにしたがってツアー旅行を好む図式と一緒である。

たとえば非常に簡単な話、ウェブサイトで利用されている言葉を少し変更するということが挙げられる。
そんなこともウェブユーザビリティを向上させる第一歩だ。

当社ではウェブサイトが中高年でも利用できるかどうかのチェックなども行っている。
是非、中高年市場を狙っている人は利用していただきたい。

6 月 20, 2005 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック

■シニアがインターネットを使えないわけ~(3)絵に依存する~ 

これは某旅行会社。

ここから、誰も1歩も進めない。

ひたすら、「どうして指マークにならないのかしら」とクリックし続ける。

これは、絵をクリックする典型的な例。

文字でいくら書いてあっても、絵がないとまず読まない。
下は住友銀行の例。なにをすればいいのかすぐに解る。

どうやったら、どうなるか。
それを想像させてあげる。
それは、洋服を選ぶときも一緒で、この服を着たらこんなイメージになりますよ、と、店員さんが薦めてくれる。
こんど出かけるときはこの格好で、あれを合わせて・・・とイメージしながら服を買う(こともある)

お店のマネキンは想像力をかき立てるための道具だ。
ウェブにも、容易に想像できるためのマネキンもとい、絵が必要だ。

(2004年12月14日)

4 月 21, 2005 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック

■シニアがインターネットを使えないわけ~(2)消去法~ 

あっちじゃないから、こっちだと思う。

ネットに慣れている人は「これかな?」と推測する。
慣れていない人は「これではないな」と推測する。

自慢じゃないですが、私は運転が下手です。
運転技術もさることながら、道が全く解らない。
「こちらはシブヤと書いてある。でも、渋谷には行きたくない。だから、反対方向の道に乗ろう」
そうやっているといつの間にか迷っている。

解りにくいラベルに出会ったとき、「まずクリック」という事をシニア層はしない。
どうしよう、どこをクリックしよう・・・と悩んだ後、「あれではないでしょ、これでもないでしょ」とクリックをしないのだ。

例えば証券会社の例。

「手数料を探してくださいね★」というタスク設定に対し、じーっとウェブを見る。
「えーと、どこを押したらいいのかしら」

「ホームトレードって良く解らないでしょ、サービスというのは、なんかの特典でしょ、ラインアップというのはわからないし、となると、「マーケット情報かホーム?」

(ホームは違うでしょ!)と思いつつ、ホームをクリックする人,
2人。

マーケット情報をクリックする人一人。

「あれ、違ったみたい」

「そうか、初めての方へ、を見ればいいんだ」

と、出てきたのはこちら。

「・・・・どこを見ればいいの?」と、結局消去法で進んでいく。
「あれではない、これではない。」
なぜなら、消去法のほうが安全なのだ。
少なくとも、怖いところに行く可能性がない。君子危うきに寄らず。

これは楽天証券のキャプチャー。シニア層がずっとこの中から手数料を探そうとして・・・結局ヘルプを押していた、という例。

ちなみに、楽天証券の手数料を見つけるまでに要した時間1分50秒、
野村證券の手数料を見つけるまでに要した時間 3分9秒。
Meネット証券の手数料を見つけるまでに要した時間 14秒。

「滞在時間が長い事はイイコトだ」なんて、いえない現実です。3分間のイライラにがまんできるのだろうか?

(2004年12月14日)

4 月 21, 2005 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック

■シニアがインターネットを使えないわけ~(1)視野が狭い~

例えば、私が松井秀喜を大好きだとしましょう。
新宿の雑踏の中を歩いていて、他の人の言葉は耳に入らないのに、「松井秀喜」という名前だけは耳に直接入ってくる。気になる・興味のあることだけが目に付く。
ウェブの世界でも同じ。
トップページがどんなに美しくても、興味のあること以外は見えていない。
そんなことは当然なのですが、興味のある文言を見つけてしまうと、そこから半径2センチくらいしか視線が動かない。そのため、大切な文言を見逃してしまう。

そんなことが、多々ある。

実際、シニアがウェブサイトを見ているのはこんな感じだ。

「ためる!」「ふやす」これは興味ある!

となると、横に書いてある文字だけが目に入る。
他は「なーんとなく見て」「なーんとなく」いい感じね。としか思えない。

これはどういうことだろうか。

以下は新生銀行の例。
他の文字が薄く、一番最初に目に入ったのは上の画像だった。

ここで問題が発生する。
「この絵の意味はなに?」「なにを言いたいの?」

その為に、絵の周りしか見えなくなる。

その差は歴然としている。
三井住友銀行→トップページをから「手数料」の文字を見つけるまでに掛かった時間:12秒
新生銀行→トップページから「手数料」の文字を見つけるまでに掛かった時間:35秒

両社とも、トップページに書いてあるにもかかわらず、倍以上の時間が掛かっている。

(2004年12月14日)

4 月 21, 2005 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック

■スクローラー!

先日、弊社の有するパソコン教室にて検索講座が開かれました。
通常個別授業という形をとっている中で、団体授業は皆さんも緊張した面持ち。

「探すのって難しいわよね」
「何を探せばいいのか、どう探せばいいのかよくわからないのよね」といいつつ、授業を進める。

そこで驚いた!
スクローラー発見!
これ、スクロールをこよなく愛する人ノコト。
ホームページを開いてとりあえずスクロール。
オフィス系のソフトを使っているときにマウスのホイールを押してしまって、ページがすっとんでしまうのもこの人種。

検索結果の一覧が出ると反射的にスクロール。
だから、Yahoo!の検索結果のスポンサー部分を見ない。
とにかく、結果も見ずにスクロール。そして、スクロールの止まったところで一端クリック

「読まないと、目的のものは探しにくいですよ」という講師を務めているEの横で、ひたすらスクロール。もうどうにもとまらない!
ただし、スクローラーは、初心者ちょっとプラスの能力を有している。
初心者はスクロールできませんから。

スクロールできる=ちょっと使ってる
でも、そこは初心者ちょっとプラス。
下に行けても、上にはいけません。

みなさんおもしろいようにYahoo!のスポンサーサイトを飛ばし読みしてましたね。
スクロールして見えなくなってしまった。
ちなみに、登録サイトでさえも。

もっともっと初心者の方になると、スポンサーサイトしかクリックしないものだから、微妙に違ったページを見てしまう。
がっちり検索条件にあったスポンサーサイトなら良いのですが、たまに泣かされます。

そして、呟くのですよ。「インターネットって探すの難しいですね」

探しているのではなく、目に入ったものをクリックする。

SEO対策やスポンサーで検索結果の上の方に行くのはよいですが、スクローラーの心をがっちりとつかむ「何か」が必要なようです。

アクティブシニア・シルバーがストレス無くウェブサイトを利用できるユーザビリティを

(2004年8月10日)

4 月 21, 2005 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック

■不安になる。(古木)

とある日、買い物に行ったら目的のお店が見つからない。
近くの人に聞いたら、「この道をずっとまっすぐだよ」と言われた。
なので、ひたすら歩いた。
とても歩いた。
すごく歩いた。
さりとて目的のお店は見つからない。
道が間違ってなかったとしても、先が見えないってすごく不安ではないですか?

教室で授業をしていると、一番受ける質問は、
「このテキストは何章まであるの?」(うちは章立てで行っているので。) だ。
エクセル、ワード、インターネット、それぞれの教材がどれくらいあるか必ず聞かれる。
ときには、毎回聞いてくる人もいる。

もちろん、聞いたことによってきちんと計画を立てて学習を進めている人もいるが、半数以上(特にシニア)は、聞いたからといって、学習すすめ方は何ら変わらない。
これって、先が見えないと不安だから聞かずにいられないのだ。
教材が3冊だったらがんばるけど、10冊だったら止めようとか、そうはならない。
どのみち、「忘れっぽいから~」とかいいながら、がんばっっている。

以前に、学校で建築を学んでいた友人と、とあるビルのエレベーターを待っていた。
友人「このエレベーター、今、どの階にいるって表示がないんだね」
確かに、よくエレベーターの上の部分についている、「1 2 3」などの階数を表示する数字がなかった。
わたし「デザイン的にない方が良かったんじゃないの?シンプルな作りにみたいな」
友人「でもさ、今、どの階にエレベーターがあって、あとどれくらいで来るのかってわからなかったら不安じゃない?」
わたし「あぁ、そうか」
友人「デザインだからって、必要なものもなくしてしまって、相手を不安にさせるのってデザインじゃないよね

たしかにたしかにそうだ!

今まで、デザイナーって偉い人で逆らっちゃいけなくて、使いにくくてもカッコよければ我慢するものだと思っていた。
その道のプロはすごい。芸術家だと思う。
だけど本当は、『利用者至上主義』なのだ。

実はこれ、インターネットで買い物とか、会員登録とかしていると、よく思い出す。
「後、何ステップあるのかなー、先が見えないと不安だなー」
シニアの人々は、どれだけ不安を感じているんだろうと思う。

お店とかだったら、店員さんに聞けるけど、ネットをしている最中は助けがないので。
人々を不安にさせない「工夫」が必要です。

「不安にさせないこと」それが「ユーザビリティ」だと思う。

アクティブシニア・シルバーがストレス無くウェブサイトを利用できるユーザビリティを

(2004年8月10日)

4 月 21, 2005 カテゴリー: 2.シニアのためのウェブユーザビリティ | | トラックバック